The Audiolingual/audiovisuell Method

 

宮本 沙緒子

 

T.The audiolingual Method

  1. ALM の成立

 ALM、別名“Oral Approach”, “New Key Method”, “Pattern Method”, Habit-Formation Method” と呼ばれる。(“Michigan Method”, “Army Method”とも呼ばれることがあるが、本来ならばこれはASTPを指すものである。もしこの名前が文献に出てくるようなことがあれば、多少気をつけて読むと良い。)第二次世界大戦中、`話し言葉'の教育に不向きであったこれまでの教授法にかわって、ASTP (Army Specialized Training Program)を通して生まれた“話し言葉”重視の教授法。この教授法は、BloomfieldやFriesらの構造言語学とSkinnerらの行動心理学を理論的裏付けとしている。

Fries : 「言語の本質は音声である。」 →音声重視の傾向

   「言語は構造をもつ。」→パターンプラクティス

Skinner : 「刺激・反応理論」(過剰学習を通して習慣を形成する。) →模倣、暗記、反復

 

  1. ALMの特徴

     

    1. 問題点
      • 機械的なドリルが学生のやる気をそぐことがある。
      • 自己表現はあくまで二の次。
      • 学習者が間違うということを好ましくないものと考えているような傾向。
      • 形式的な正確さのみが重視されている。→コミュニケーション能力の軽視。
      • 文法的な弱点が生まれる。特に、母語との構造上の違いの大きなところで問題が起きる確立が高い。(但し、パターンプラクティスを支えるものはあくまで文法であり、隠れ(?)GÜとの指摘もあった。したがって、教授法自体が文法軽視の方向性を持っているとはいいがたい。)
      • 教師中心の授業なってしまう。

                            などなど・・・

       

       

      U.The Audiovisuell Method

      1. AVMの成立

       AVMは、別名”Global-Struktural Method”といい、GuberinaとRivenceの引き入るCREDIF(Centre de Recherches et d'Etudes pour la Diffusion du Francais Ecole Normale Supèrieure de Saint-Cloud. Paris)のチームによって1950年代に生み出された(1960年代に発展)。この教授法は、原則的にALMと似ており、ALMの発展形とも言われている。

       

      1. ALMとの比較
        • マテリアルが視覚的要素を含んだものである。(Video、映画、ダイアログなど。)
        • 現実に起こりうる状況を設定したマテリアル。(日常会話中心。)
        • AVMでは自己表現を言語習得における起点と考えた。
        • 母語の使用不可。
        • <1ヶ月から6ヶ月は読み書きなしの授業。(板書もなし?)←話し言葉と書き言葉の干渉排除。>

       

      1. 問題点
        • 初心者には適しているが、ある程度の知識を持っているものにはマテリアルの提供がしにくい。→学校教育においての失敗。
        • Patternとして教えられたもの以外への対応の遅れ。
        • 文法における弱点が生まれやすい。

         

         

        Army Specialized Training Program (ASTP)

         

        a) ASTPの成立

        陸軍特別研修計画、略してASTPという。1943-44年の第二次世界大戦さなか、軍将兵を対象として行われた短期集中実践型外国語教育。(これまで軽視されがちだった外国語が、第二次世界大戦と共に重要になり、早急に実践的な外国語の習得が望まれた。) 最初は軍の将兵に対するプログラムだったのだが、後に大学での実施なども見られる。但しこれに関しては、あまりはっきりしていない。

         

        b) ASTPの特徴

        基本理念:「外国語の効果的学習方法は、目標言語を母語とするもの(informant )が話すことをできるだけ性格にまねして反復練習する。しかも短期間に集中して実施して効果を狙う。」「どの言語も一定のパターンを持っている。」また、Informantによる外国語口頭教育と講義の二本立てで授業が行われていたらしい。

          • 短期間(90日間)集中授業。
          • 受講人数制限(10人程度)。
          • 会話の習熟のための反復発音練習。
          • 外国語文学の学習を避け、実践的な構文、語彙の口頭練習。またその反復。
          • 中国語や日本語の場合、一つの文字が色々な発音を持つため、かなり遅い段階に達するまで文字は教えない。
          • 視聴覚機器の利用。(この時期から利用され始める。)

         

        c)  ASTPの問題点

          • (軍内部のプログラムだったため)受講生に言語能力がないとみなされたとき即刻除外された。→受講生の`義務感'ないしは上からの`圧迫感'がこの過密な教育を成り立たせていた(推測)。
          • (Informantは母国語話者というだけでサンプルとして採用されたため、教員としての質は持ってなかった。→教育の質の低下?)

         

        d) その他

          • 1935年から試験的に実施されていた。
          • 1944年以降、このプログラムは行われなくなる。
          • 1957年ソ連の人工衛星スプートニク打ち上げを受け、1958年に出された国防教育法の影響を受け、この年復活する。

         

         

        Bibliographie

        田島 清忠,”現代英語教授法総覧” 1995年 大修館書店 

        安井 稔, “英語学と英語教育” 1988年 開拓社

        大沢 茂,”More Successful Teaching of English 現代の英語化教育” 1978年 南雲堂

        www.france-mail-forum.de/material/5Methode.html “5.Teil: Fremdsprahcendidaktische Methodenfragen”

        www.fphil.uniba.sk/~bystricky/stfr.html “Strukturierte Fragen”

        www.tu-chemnitz.de/phil/a/Lehrveranstaltungen/Kommentierung/SS02/Einfuehrung/Uebung/R10_2.pdf ,Lydia Preisser, Corinna Bader, “Methoden des Fremdsprachenlehrens”

        などなど・・・