東京外国語大学欧米第一課程ドイツ語専攻
「コンピューターとドイツ語学習研究」(ヨーロッパ言語研究T演習)
担当: 境 一三


HotPotatoesを使って


クラスの皆さんにHotPotatoesを使って教材を作ってもらい,さらに相互に問題を解いてよい点,改善すべき点を考えてもらいました。


石田

前回の課題に対するコメント。

最初に発表をした班の Landeskunde の問題は絵や表が入っているので初心者がドイツ語を学習する際に嫌気がささず、楽しみながら問題に取り組めると思った。見た目も良く、やる気が起こると思う。ただ、初心者はまだ語彙数が少ないので人口や面積を紹介する表は理解しやすいように日本語にしたほうが良いと思う。

私の班について。

JMatch の左の語に合う動詞を選ぶ問題で、"Klavier"-"spielen", "Dusche"-"nehmen", "Pfanne"-"kochen", "Foen"-"trocken" という解答を作ったのだが、前半2つの"Klavier spielen", "Dusche nehmen" という表現は存在するが、後半2つの"Pfanne kochen", "Foen trocken" という言い方はないという点で問題を作り変える必要がある。

他には、JQuiz の独作文問題で別解が少ないために解答以外の正解が不正解になるという問題点があった。

また、JCross で、ドイツに行ったことがある人にしか分からない質問があったがそれは学習者には不向きである。誰でも知っている答を設定するべきである。どの問題にも言えることは、対象となる学習者のレベルを統一し、学習者に何を身につけてもらいたいかを明確にすることである。

良い点は JCross のヒントを日本語にしたことである。そうすることで初心者でも問題が解きやすくなると思う。

自分の作成した問題を他人に解いてもらうと、細かい間違いを見つけてもらったりより良い案が出されたりして、問題を作るのは見た目より奥が深いことを実感した。


丸山麻美

<グループで話し合ったこと>

・すべての解答をみることのできる解答欄のようなページがあるとよい。

・ウムラウトをきちんと出すようにしないとわかりにくい。

・並べ替え問題(他の問題にも)に訳が欲しい。

・ドイツ国歌を使った穴埋め問題で、音楽が聴けるようにすると、ドイツ国歌に親しめるだけでなく、ディクテーションの練習もできる。

・J Quizeの問題は、比較的難しい。同じ文章を使って、複数の問題をつくるようにすると、一度みたことのある文章なのでわかりやすいのではないか。

また同じ文章を反復して問題を解くことで、そのセンテンスを覚えてしまい、理解度が増すのではないか。


恵 幸代

10月29日の授業で自作の問題について話し合った結果、以下のような反省点が出ました。

JCross: ヒントの出し方が、製作者以外の人には分かりづらい部分があった。数字の綴りを入力させるという出題方法を用いたメンバーが二人いたのですが、その場合は回答が定まっているので問題が作り易い。

JMatch; 結びつける単語について、その知識を深めるためにホームページへリンクさせることができたら更に良かったと思われる。

JCloze; Gapを作る際の目的意識が弱かった。統一した出題意図をもって穴埋めをさせなければ、何を学習させたのかが不明瞭になってしまうことが分かった。また、正解のヒントが一文字ずつしか出てこないので、とても不便に感じた。HotPotatoesのソフト自体がそのように作られているので仕方ないのだが、回答に近道をする方法があってもいいのではないかと思った。

以下、他のメンバーの作成した問題について、私自身が良いと思った点を述べます。

・JBCを使って、変化する本の冊数を答えさせるという問題について8つの連続した問題から成り立っているのですが、そのストーリー性に強く興味を持ちました。回答者を次へ次へと引きつける要素は重要だと思います。

・JMatchで略語と日本語の訳を結びつける問題

よく使われる略語の基本的知識が身に付けられて良いと思います。略語と日本語訳の連結だと、まずドイツ語での正式名称を予想し、それから日本語の訳を考える(もしくはその逆)というふうに、正解を導き出す方法が問題と直接的でないところが、工夫されていて良いと感じました。


水野麻衣子

前回の作成問題の反省点ですが、私の場合は「これからドイツ語圏へ実際に行く初歩ドイツ語学習者」を対象に問題を作成したのですが、今週の授業でグループのメンバーに実際に解いてもらったところ、初心者にはまだ難しすぎる単語を使用していたり、ヒントがわかりにくいという問題がでてきました。また、別解がまだまだ完全に入っておらず、あらゆる可能性を考える必要性があることがわかりました。

さらに、ヒントなどは日本語を用いた方が学習者にはわかりやすく、面白いものになるのではないかという意見も出たので、今回はその点も含めて改善しました。

ただ、情けないことにhotpotatoesをまだ完璧に使いこなせておらず、今週の授業で他の人がやっていたように、「左側に問題、右側にヒントとなるような資料を表示」できるようにしたかったのですが、どうもうまくいかず、結局思ったほど前回のものを改善することができませんでした。

私自身、パソコンについてもう少し学習する必要があるように思います。


森江雄也

グループ発表会のまとめ

メンバー 太田、佐藤、森江

 

太田さんが作成した初心者向けドイツ語問題の…

よかった点

・ヒント先にリンクを張るなどして、非常に丁寧に仕上がっていた。

・また、リンクを張ったことにより、一つの画面で左右に問題と資料が出て見やすいし、他のウィンドウを開く必要がない。

・全ての問題がドイツの地理に関するもので、問題につながりがあった。

・資料があるリンク先には画像が多いので、初心者にもわかりやすい。

 

悪かった点

・初心者向けに作ったのに、ヒントがドイツ語で初心者にはわからない。

・また初心者向けにもかかわらず、ヒントが少ない。

・リンク先の資料がドイツ語で書いてあったので、初心者にはきつい。

 

森江が作成した入門者向けドイツ語問題の…

よかった点

・家族をドイツ語でいう問題は入門者にはわかりやすい。

 

悪かった点

・問題の絶対量が少ない。

・JMatch、JMix、JQuizの3つの問題のテーマに何のつながりもない。

 だから、問題に一貫性を持たせるべき。

・名詞を扱った問題の答えに、単数形のみならず、複数形も書かせるように指示を与えるべき。

その他に両者ともPC上の技術的問題を指摘。

・Hot potetoesの日本語の説明ページだけでは、作り方が分からない部分があった。


太田博雄

改善前

  良かった点

  a.. ドイツ語の授業の導入に使える問題である。

  b.. 画面が左右に分かれて、見やすいように工夫(リンク等)されている。

  問題点

  a.. ドイツ語の初心者向けの教材としては配慮が足りない。つまり、ボタンやヒント、フィードバックの文章が普通にドイツ語で表示されるために、初学者にはわかりづらい。

  b.. 一部使われているドイツ語のテキストや統計は、それだけ表示されていても、初学者には読解できない。

改善点

  a.. コンフィグを見直し、できるだけ日本語表示にした。

  b.. indexや矢印(⇒)等、この問題に不要な部分を削除して、画面を多少シンプルにした。

  c.. 単語を調べる必要がある問題では、別窓表示でオンライン独和辞典(三修社)にリンクできるようにした(この辞典の使い方については多少の説明が口頭で必要になると思う〜ウムラオトが入力できない等〜。)。この際、パソコンの初心者に対しては、ウィンドウの大きさを調節して自分の見やすい画面を作ることも教えるとよいと思う。

  d.. 問題2(JMatch)において、ドラッグアンドドロップ形式のWeb表示にすると、左右にフレームを分けて、左に問題、右に地図とはできないという難点があったので、地図を別窓表示できるようにした。

改善前の問題は、確かにドイツ語の授業の導入に使うものとしては配慮に欠けたものでした。改良した際には、その点を注意したのですが、全てを日本語表記にしてしまい、学習者が苦労して調べるなどの作業が全くいらないようでは、これもまた問題点になるだろうと思い、独和辞典をリンクさせました(大きさを調整した別窓で、自作の単語集をリンクさせようとも思ったのですが、私の技術的な問題で断念しました。結果としてこれで良かったと思いますが)。実際の授業でこの教材を使う際には、先生が適宜説明を加えたり、補足の知識を与えたりすることも必要だと思います。

私が話し合ったもう一人のメンバーの問題は、それぞれのプログラムで作った問題に連関が見えず、問題数も少なかったために、教材としてのテーマがよくわからないという問題がありました。しかし、家族、食べ物といった身近な対象を扱った問題であったので、改善次第では、初学者にとって取り組みやすいものになると思いました。


佐藤智英

今回の課題の対象者は、主に中級者、即ち我々くらいのレベルです。問題の意図は、文章を把握させることにあります。

JQuizでは、主に文章の内容を把握できているか、そのチェックを行います。ただ、今回取り上げた文章が「白雪姫」だったため、読まなくても、みんな内容を知っている、というのが難点です(汗)。

ここでは、左右に表示させて、サイトを見やすくするという技術を使いました。(前回太田さんがやっていた事ですが。)左右に表示させることまではできましたが、サイトへのリンク方法がイマイチ分からなかったので、そのままコピー&ペーストしたのですが、今度はウムラウトが消えてしまいました。謎です。

この問題は10問用意しました。

JMixの方は、動詞の単語テストです。

一文字一文字を入れ替えて、一つの単語を形成することを目的としています。先に読ませておいた「白雪姫」の中に出てきた動詞を、10問取り上げてあります。前回、モリエ君達が指摘していたのですが、「一問しか作成できない」という点を、一問一問をリンクさせることによって、解消しました。ただし、こうするとファイルの数が果てしなく多くなってしまうのが難点です。ファイルの管理が一層難しくなることウケアイです。あと、Tipを使って、動詞の意味を出したかったのですが、

JMixでのTipの書き方が分かりませんでした。そのため、デフォルトの設定を使っています。あと、学習者が問題に詰まった時の事を考え、白雪姫のテキストが置いてあるページへのリンクをはっておきました。

JMatchでは、動詞と、それについて独語で書かれた意味とを結びつける形式をとっています。

これについては大きな反省点が一つ。

意味の方を、ドイツ語の辞書サイトからそのまま取ってきてしまったので、多少、難しい単語が入ってきてしまって、分かりづらいです。自分で書けば、もう少し平易な表現になるのでしょうが、独語を独語で説明できるほど、僕の独語力は達者ではありません・・・。これについては、もう少し考えてみる余地がありそうです。

あと、この問題のサイトに、独独辞書サイト、英独辞書サイトへのリンクをはっておきました。もし学習者が問題に詰まった時、これをTipとして使えるようなってます。本当は別窓で表示したかったのですが、これも技術的に分からず、といったところです。

これらは、内容的繋がりとして、「白雪姫」という要素を持ち、且つ、問題の意図的繋がりとして、「文章把握」という要素を持ちます。内容的繋がりを持たせるのは比較的簡単なのですが、問題の意図を統一するのが難しいと思います。そのため、少し、問題設定に無理がある気がします。これについては、それぞれの問題作成ソフトの性質をもう少し検討してみることによって解消できると思います。

 

前回の反省点

三つの問題を、何か一つのウェブサイトに関連させて、縦の繋がりを持たせる事は容易であるが、今回の場合、JMatch,JMix,JQuizの三つをそれぞれ、何か一つの学習テーマで関連付けるということが、非常に難しく感じた。(例えば、冠詞について学ばせるとなると、JMixがお荷物になりやすいと思う。まぁ、「冠詞というものは名詞の前に置くものなのだ」というレベルの事を学ばせるのであれば問題は無いが。)この三つのソフトに限定せずに、六つの中からそれぞれ好きなソフトを選んで作ってよい、ということになれば、それなりにやりようがある、と思われる。

 また、一つのソフトで、最大効力を引き出せないにしても他のソフトの代用ができるというのは面白い。例えば、JQuizを使って、穴埋め問題を作ることができた。JQuizは、比較的多目的に使えるのではないだろうか。

 多くの人が挙げた問題点としては、問題文の提示を目標言語で行うか、母語で行うか、という事。初心者に対しては母語で行うのが当然であるが、それ以上の学習者に対しては、その場その場で考えていかなければならないと思う。

 太田さんの作った問題に取り入れられていた技術で素晴らしかったのは、同一ウィンドウ内の左に問題、右に指示ページを表示させる、というもの。多くのウィンドウを開く手間を省かせるし、見やすいという利点もある。JMatchのドラッグ&ドロップタイプの問題の場合、左右に表示させることができないが、そのページにリンクを張っておいて、他のウィンドウで表示させるという方法もある、と先生が指摘された。

 太田さんの作った問題は、問題の縦の繋がり(テーマと問題の繋がり)もさることながら、横の繋がり(太田さんは地図をテーマに作ったが、これらの問題は一貫して、ドイツに興味がある初学者に、ドイツに対する見聞を深めさせるというテーマを持っている。)もあり、問題を作る上での良い見本だと思った。

 また、HotPotatoes日本語解説ページには全てが書かれているわけではないので、皆、技術的な面で苦労していた。特にJMixで、他の問題とリンクするためにコンフィグをいじる、という事とかは、コンピューターが得意でないひとは当然であるが、普通にコンピューターを使える人でも、説明無しに解明するのは難しいと思う。もう少し細かいマニュアルがほしいところ。


多田佐和子

皆で話し合った反省をふまえてはじめから作り直しました。

まず、全体として思ったのはテキストがばらばらで何を目的としているものかわからないという印象を受けたので、今回はすべて”Film”というスキットを使って、前置詞の勉強をする初学習者を対象にしました。

1、JBCで本文を読む

2、JMatchで単語確認をする。

3、教師はJBCにある文法事項を確認し説明する

4、JBCの問題を解く

5、Jcrossをやって前置詞の種類になれて、覚える。

6、Jcloseを解く その際、全訳を見られるようにした。全部前置詞の格を訊く穴埋めになっている。

7、Jmixをやる。これは、本文に出てきた一文なので復習になる。

8、JQuiz をやる。これは右側に文法解説のサイトをつけた。宿題にして分からなかった所を見直しできるようにと考えた。