東京外国語大学欧米第一課程ドイツ語専攻
「コンピューターとドイツ語学習研究」(ヨーロッパ言語研究Ⅰ演習)
担当: 境 一三
クラスの皆さんに考えてもらった,ASTP/ALMのメリットとデメリットです。参考にしてください。
ASTPのメリット
・ネイティヴ・スピーカーとの反復対話訓練によって言語を習慣として学ばせることで、スムーズな会話力がつちかわれる。
・発音に関してもよりネイティヴに近い能力が期待される。
ASTPのデメリット
・教師がネイティヴ・スピーカーであり、授業では学習する言語以外使用できないこと、また言語の構造に重きがおかれ、意味的な部分が軽視されることによって、学習者が真に意味を理解できないのではないかという懸念。
・さらにそのことによって学習者間の能力に大きく差が出てくるのではないか。
・「話し言葉」の学習が先決となっているため、「書き言葉」に対して極端に弱く
なってしまうのではないか。
このようにASTPのメリット・デメリットを挙げてきましたが、全ては憶測に過ぎず、実際にASTPによる教育を受けてみなければ断言はできないと感じました。この教育法は現在でもどこかで使用されているでしょうか?
ASTPとALMのメリット
・mimicry-memorization や pathern practice は 第一次言語習得の過程に近いのではないか。
・パターンによる発話練習によって、語や句で切れることのない よりなめらかな発話ができる。
・特にASTPは小人数のグループでネイティヴの講師が つくので会話の実践力が身につく。
デメリット
・本当に pathern practice でコミュニケーションに必要な 表現が十分に習得できるのか。
・読み・書きの指導につなげることが難しい。
ASTP/ALM と DM の差異
・ASTP/ALM では教師を模倣する繰り返しの発話が中心。他方DMでは質問形式で生徒の発話を促すことも多い。
ASTP,ALMのメリット・デメリット
◎メリット・・・
コストを安く抑えられ、大量に生産できる。また、AV機器さえあれば時間・場所をえらばず何度も繰り返すことができる。
●デメリット・・・
・音質:かつては磁気テープ主体なので劣化してしまったが、デジタル化が進み、その精度も高くなりつつあるので現在は解決しているのではないかと考えられる。
・シテュエーションが限られてしまい生きた会話ができない(あくまで練習であって、自分と他の人間との間のコミュニケーションとしての会話ができない。)。最近はTV電話を使う教材などもあるがISDNなどにより伝達速度も高速化しているので以前よりは良くなったと思われるが、TVと話している感じで違和感を感じるのではないだろうか(使った事はないのでわかりませんが・・・)?また一般会話とか需要の多い分野ではそのような教材が作られるが、需要の少ない分野では利潤などの面から作られることは少ない。
ASTPのメリット、ディメリット
メリット;短期間で、ある外国語に習熟させることができる。特に、会話能力の養成に力を発揮する。
ネイティヴスピーカーを利用するので、発音などの面にも問題がない。
ディメリット;普通の生徒は、それだけまとまった期間にそれだけの時間を、外国語の習得に当てることはできない。
夏休みなら可能だが、学生以外には難しい。
少人数のクラスを設けるのは、予算的に厳しい。
言語によっては、インフォーマントのネイティヴスピーカーを集めるのが難しい。
教授法としては、よくその目的を果たしていると思います。しかし、現実的な制約があってメソッドどおりの授業を行うことは難しいと思います。
まず利点として挙げられることは、文法事項と会話、発音事項が別々に設けられていることで、これにより学習者は効率よく外国語が学べると思います。文法クラスで習った知識を、会話クラスで実践してみることで、先週授業で取り上げた「1言語授業」よりも短時間でその言語を習得することが可能だと思います。(対象者の違い等、一概には言うことはできないかもしれませんが)不利店としては、文法→会話の順で習った場合、文法事項にとらわれすぎて、「意思を伝える」という言語そのものの目的が薄れるのではないか、と言うことが考えられます。
ASTP及びALMのメリット・デメリット
ALMはそれの持つ諸原理から、パタンプラクティスが重要視された、ということなので、その点について考察したい。
まず、外国語教育の場において、パタンプラクティスを導入すれば、生徒はみな、特定の質問、特に授業で習ったことなら尚更、ミスなく答えることができるであろう。また、基本構文は繰り返しの練習によって染み付いているので、何か表現したいことがあるときには、当てはめるだけで、言いたいことを言うことができるに違いない。それがパタンプラクティスのメリットであると考える。
だが、そこに個性というものが存在するか、という話になると具合は変わってくる。何かを伝えたいとき、例えば何かに感動したときに、こういうときは、how+形容詞か、what+不定冠詞+形容詞+名詞、で最後はエクスクラメーションマークで締めくくるとパタン化されたとしたら、それ以外の方法でこの感動を伝えることができるのであろうか。また、そういった考えが思い浮かぶのであろうか。私が外国語教師になって、外国語自由作文のテストで生徒がみな、同じような答えだと、外国語教育の成果が行き届いていると思う一方、ある意味たいへん不気味なことだと思った。
(メリット)
・文法と発音に関して、母語で講義を受けるので、きちんとした知識を得ることが できる。
・発音は講義を受けたうえでネイティヴスピーカーの発音にふれることができるの で、正しい発音が身につきやすい。
・短期間に集中して学習するので、効率良く習得できる。
(デメリット)
・80人の生徒と1人の教授による講義は、教授の一方的なものになってしまいやすい。
ASTPのメリット
・1クラスの人数が少ないので、生徒ひとりひとりに眼を配ることが比較的可能だと思う。教師が生徒がどれ位できるかを確かめながら授業ができるので、落ちこぼれる生徒が出にくいと思う。
・会話ができるようになるのは誰もが望むスキルであり、話せるようになると自信がつき学習意欲が湧き立つ。文法訳読式の授業よりおもしろいという生徒も少なくないと思う。
・英語を話すことができるというのは国際時代の今とても重要なことである。様々な国の人々が集まって議論をする時は英語だし、自分の意見を伝える手段であり、必要だと思う。日本人は発言するのが苦手というイメージがあるが、話す訓練とその勇気が足りない気がする。ASTP方式の授業をすれば会話下手な生徒が減るかもしれない。
デメリット
・会話上達を目的としているため、難しい文章を読むという能力に限界が出てくる。Ageard and Dunkel 氏の研究によると、Oral Method で教えられたものは、学習開始後1ヵ年あるいは2ヵ年の終わりでは従来の方法で教えられた生徒と同様の読書力をしていない。
・少人数編成にする場合教師や教室などが足りない現実がある。生徒一人にかかる金額が多くなると難しい面もある。
・ネイティブの先生が多く必要なので地方の学校だと難しい部分もある。先生の代わりにテープレコーダーなどを使うという意見もあるが、私はそれは効果が半減すると思う。生身の人間から英語だけでなく、表情、しぐさ、日常会話の表現などを学ぶ事も多いのでテープでは不十分だと思う。
・最大の効果を生み出すには長期間こつこつやるのでなく短期で固めるASTPだが、生徒は英語だけではなくほかの教科もやらねばならない。生徒の人格の養成、教養の育成など目的をした教育も重要であると思う。そういう点では文法訳読法のテキストを読む事で得られ考えることは多いのではないか。
参考文献
『英語の教育』 飯野至誠 清水貞助 大修館書店
『More Stccsesful Teaching Of English 』 大沢茂 南雲堂
メリット
①音声言語と十分に接触する機会が与えられたため、短期間で当該言語を流暢に話せる可能性が広がる。 (母国語話者との頻繁な接触)少人数制にすることで、密度の濃い授業ができる。
③言語自体の解説と実際の訓練をはっきり分けたため、学習の効率がよくなる。
デメリット
①悪魔で流暢にはなすことが目的とされたため、読解力、作文力などが培われない。
②少人数クラス、専門家の起用、短期集中ということは普通の学校では事実上無理である。
③同じアルファベットを使うヨーロッパ言語を新たに学ぶ場合、初期の段階で、文字を取り入れなくてもそれほど問題はないが、例えば、欧米人が日本語を学び始める場合もじをむししてしまってもいいのだろうか。
ASTP/ALMのメリット・デメリット
(特に学校における外国語教育に用いた場合)
「メリット」
1.視聴覚機材を用いることにより、学習者の興味をひき、記憶の定着が高まる。
2.口頭での訓練がメインとなるため、Speaking/Listeningの能力は高くなる。特に日本で言われている「中高6年間も英語を学習して、話せないのは意味がない」という批判は無くなるのではないか。(もちろん、Zielgruppeをあえて無視しての論ですが)
3.目標言語のみで全てを行う訳ではなく、理解が難しいと思われるところは母語によって解説することもある。母語の使用は特に初期段階には有効である場合もあると思う。
「デメリット」
まずASTPを普通の学校教育に適用するとすると、intensiveに訓練を行うため、学習者の意欲、もしくはどうしてもその言語を習得しなければならない必要性が持続しないと、途中で挫折することもありえるのではないか。(通常の学校で使うことはありえないとは思いますが)
また、もしも、日本のいわゆる「普通の」学校における外国語教育に(一般的な)ALMを用いることを考えた場合
1.口頭中心の授業を行うため、少人数のクラスを組まなければ、学習者に適切な指導ができない。
2.少人数クラスを組んだ場合、それだけ教員の頭数が必要。
3.その教員も、きちんとした訓練を受けた者でなければならない。AETなどネイティヴスピーカーを活用するにも、そのネイティヴの能力の高さを求められる。
「その他、疑問」
1.クラスを分けるときに、学習者のレヴェルを「均質化」しないと指導が効果的に行うことはできない。
2.まだまだ日本の学校における外国語教育において、文法訳読法以外のMethodeを用いることに、生徒側にも、それ以上に教師側に抵抗が大きく残っているように思える。ゆえに、口頭中心のMethodeが受け入れ難いのではないか。
私がASTPについて思うメリットは、短期集中的な学習方法ということによって、学習の効果が倍増されることが期待できるということです。しかし同時にデメリットとして、まとまった時間がとれる人にしか適用できないことや、英会話学校に代表されるような、言語を楽しんで学ぶということが難しくなることがあげられると思います。
ASTP/ALM(以下ALM)では、まず、「言語習得は習慣形成の過程である」という考えに基づいて、パターンプラクティスが特徴的な練習法として登場する。さらにそれは、ネイティヴによるインフォーマントを用いるために、学習者は正確かつナチュラルスピードで発音、または発話できる能力を身につけることができると思う。また、練習した対話文に対しては、かなり素早く反応できるようになる。それに伴い、聞き取りの能力も向上する。しかし一方で、パターンプラクティスによるドリル練習は、一般的に退屈なものであり、動機づけや興味を持たせることには考慮を欠いた方法であるといえる。また、この練習は、実際の発話場面とは切り離されたものであるため、コミュニケーション力の向上にもそれほど力を入れていない方法である。さらに、学習者はパターンで覚えた語や短い文を話せるようになっても、そこから自分で応用して文を発展させていくことは難しいかもしれない。このように、ALMは、一見、話す、聞くといった能力を伸ばす良い方法であるかのように見えるが、実際に生きたコミュニケーションの為に使うことのできる言語能力を形成していくには、不完全な部分がかなりあると言える。その点では、様々なテキストに自然に触れるDMの方が、応用力のある総合的なコミュニケーションをできるようになる方法だと思う。
メリット
・ダイアローグを使用するため、DMに比べると文字の導入が早い。
文字が導入されることによって安心感が得られる?
・目標言語での「ある程度の」思考が可能になる。
・短期集中で授業が行われるため、習得が早い。
・DMと比較すると、文法に関する知識も得られる。
ただし、あくまでも比較的、という話。
文法習得に関して高度な有効性が認められる文法訳読法とは比較にならない。
デメリット
・パターン・プラクティスは、確かに簡単な日常会話の習得には効果的だが、あくまでもパターンで覚えているため、会話が画一化しやすい。パターンに無い答えを、応用で答えることができない。
・確かに目標言語での思考は可能になるが、DMと比べてフレキシブルではない。
・ダイアローグを使用するため、話言葉が重視される。逆に書き言葉の習得は難しいと思われる。
・誤りの訂正が重視されるALMでは、形の正確さが求められ、それによってぎこちなさがでてくる恐れがある。
例えば、一般的な日本人は正確な文法にのっとって英語を話そうとして、間違いを恐れるため、流暢な英語を話すことができないし、できるようになるのに時間がかかる。これと同じ事が言えるのではないか?
・書き言葉が使えないということによって、通訳等の専門的な技術が得られない。従って、これもDMと同様に、現地である程度の生活を営むための語学力を短期間で習得することが目標となる。あくまでも、「導入」としての語学学習であると思われる。