L の発音

L の発音は、日本語母語話者にはさほど簡単でないのだが、この点がけっこう見過ごされているように思う。特に、ドイツ語で使う clear L は、舌先を一定時間しっかりと歯茎につけ、舌の脇を空気が流れる時間を取らなければならないのだが、これがきちんとできていない学習者が多く見られる。
英語では、dark L と clear L のどちらも使われるが(音環境によって使い分ける)、その違いを英語の授業で明示的に習った学生は、ほとんどいないようだ。アルファベットを発音させると、まず間違いなく dark L で発音する。
これを、ドイツ語のアルファベットで clear L にすることが一仕事だが、クラスによってそこに重点を置く場合と置かない場合とがある。一般的な1年生のクラスでは、あまり細かく言って、心理的に不安定にするのは得策でないから、不必要に突っ込まない。
しかし、発音を習いに来ている学生(音声のクラス)には、それも含めて、しっかりとした L の発音指導をする。
舌先を歯茎につけても、すぐに離してしまうと、flap や tap になってしまい、(日本語のラ行音のように)R 音として認識されてしまうので、そうしないことが必須だ。
逆に言うと、R 音は、舌先であれ喉彦であれ、何らかの形で震えていたり摩擦音が出ていたりすれば良いので、あまり神経質にならなくても良いということになる。
もちろん、なるべく「らしい」音を出したいという場合は、しっかり練習しなければならないが。